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「統合失調症」を徹底解説

現在精神疾患に分類される疾患の中で、最も入院されている方の数が多い統合失調症。

以前は精神分裂病という病名で、不治の病治であると考えられていましたが、近年は精神薬の研究などが進みその認識も少しずつ変化してきています。

医学の進歩に福祉の発達が追い付かず、まだまだ社会資源などの環境は整備されていませんが、障害者自立支援法以降は障害のある方々にとって有益なサービスが確実に増えてきています。

今回はまず統合失調症とはどのような病気なのかということを述べたうえで、周囲の方が接する際のポイントなどについても解説していきたいと思います。

 

【目次】

 

統合失調症とは?

統合失調症とは、主に幻覚や妄想などを症状とする精神疾患ですが、症状の現れ方や強弱は人それぞれです。

原因ははっきりと解明されていませんが、現在のところ脳内の神経伝達物質の異常なのではないかと考えられています。

生涯発症率は100人に1人と、決して珍しい病気ではありません。

基本的には薬物による治療が基本になりますが、早期の治療開始がとても大切になってきます。

 

統合失調症の症状は?

統合失調症の症状は患者さんによって様々ですが、大きく分けると「陽性症状」と「陰性症状」に分類することができます。

陽性症状と陰性症状の主なものとして、それぞれ下記のようなものがあげられますが、薬物療法によってほとんどは抑制することが可能です。

陽性症状

幻覚

幻視や幻聴など、実際には存在しないものが見えたり聴こえたりといった特異な体験をします。

妄想

現実とは異なることを信じ込んでしまい、その考えを訂正が出来なくなります。被害妄想や関係妄想、被毒妄想、注察妄想など種類もたくさんあります。

思考伝播

自分の頭の中で考えている内容が、そのまま他人に伝わっていると感じます。

思考奪取

自分が考えていることが外に漏れてしまい、他人に奪われてしまうと感じます。

思考吹入

他人が考えていることを、自分の頭の中に吹き込まれていると感じます。

思考化声

頭の中で考えていることが、そのまま声として聞こえてきます。

作為体験

させられ体験ともいい、自分の考えや行動を誰かに操作されていると感じます。

憑依体験

悪霊や悪魔などに、乗り移られたりとりつかれていると感じます。

陰性症状

感情鈍麻

感情表現が乏しくなり、周囲の出来事などに対しても反応が鈍くなります。

意欲減退

何に対しても意欲がなくなり、身だしなみなどに対しても無頓着になります。

無為自閉

何もしたくなくなり、引きこもったり閉じこもったりします。

連合弛緩

考えがまとまらなくなり、関連性や脈略のない話をしてしまいます。

滅裂志向

考えが支離滅裂になり、何を言っているのかよくわからない状態になります。

 

統合失調症の種類は?

統合失調症では発祥の仕方や症状、経過などから「破瓜型」「緊張型」「妄想型」にわけられていますが、最近はその分類もあまり使われなくなってきました。

それぞれの型における特徴は下記のようになります。

破瓜型

若年層での発症が多く、最初は意欲がなくなるなどの陰性症状から始まりますが、徐々に幻覚妄想などの陰性症状が目立ってきます。長期にわたり継続的な治療が必要になる場合が多く、治りにくいタイプとされています。

緊張型

青年期で急に発症がすること多く、強い緊張があるため落ち着きがなくなり、生活面が乱れたり行動の異常などが見られます。予後は比較的安定しているため人格に及ぼす影響もあまりありません。

妄想型

 発症年齢が比較的遅く、陰性症状はあまりみられず陽性症状が中心です。パーソナリティは維持されたままで予後も良好です。

 

統合失調症の経過は?

統合失調症の経過は個人差もあり例外もありますが、一般的には以下のような流れをたどっていくことが多いです。

前兆期

少しずつ症状が現れ、眠れなくなったり周囲の刺激などに対し敏感にな中たりと、やや不安定な状態ですが、本人でもはっきりとした不調を自覚することは難しいです。

急性期

緊張状態が強くなり、幻覚や妄想などの陽性症状強く現れるため行動にも影響が出てきます。周囲もその変化に気付く時期です。

休憩期

陰性症状が目立つ時期で感情の起伏がなくなり意欲も低下してくるため活動性がなくなってきます。

回復期

少しずつ症状が安定し回復していきますが、この時期に回復を焦ってしまうと再発や再燃するだだけではなく、後遺症が残ってしまう可能性があるためゆっくりと過ごすことが大切です。

 

統合失調症の治療は?

統合失調症の治療は薬物療法が欠かせませんがそれ以外でも、カウンセラーによる心理療法や作業療法士による作業療法、看護師や精神保健福祉士による社会生活技能訓練などにおいても治療の効果が認められています。

また、病院によっては精神保健福祉士により社会生活などをサポートする継続外来支援を行っているところもあります。

 

統合失調症の方への接し方は?

統合失調症の方が安心して生活をするためには周囲の方の理解や協力は欠かせません。

病気への理解を深めながら、下記の点に注意しながら接することが大切です。

・静かに落ち着いて、安心して過ごせる環境を提供する。

・話の内容はできるだけ否定せず、同調しながら傾聴する。

・本人の意思をなるべく尊重し、共感することを心がける。

・行動や判断などを急がせずに、本人のペースを大切にする。

・一度にたくさんのことは伝えずに、具体的にひとずつに話す。

・回復を焦らず、ゆっくり治していけるよう温かく見守る。

・誤った行動があった場合には、怒らずに悪いことであることを伝える。

 

まとめ

統合失調症は以前から治ることが難しい病気であると認識されていましたが、近年では早期に適切な治療を行うことで回復することが可能となってきました。

しかし統合失調症の回復は不安定であり再発しやすい病気であるため、独断で通院や服薬を中止することは禁物です。

再発を繰り返していくと病気が慢性化しやすく、後遺症が残る可能性が高くなってしまいます。

回復期以降も普段の生活の中から再発の兆候を見逃さず、完全に治ってしまうまではきちんとした服薬管理を行うことが大切です。